交通事故

交通事故の損害賠償金を増額|現場検証から症状固定までの注意点

交通事故によるケガや後遺障害の賠償金を増やすために

交通事故で怪我を負ってしまい、後遺障害(後遺症)が残ってしまった場合、被害者としては、加害者の保険会社から損害賠償金を少しでも多く手に入れたいと思うことでしょう。

現実として、相手方の保険会社から提示された賠償金額が低すぎる、と不満に思われる被害者の方は多いです。
では、正当な金額の損害賠償金を受け取るには、どのようなことが必要なのでしょうか。また、被害者として、何かできることがあるのでしょうか。

このコラムでは、交通事故による怪我・後遺障害の賠償金を増額させるためのポイントや注意点を、時系列順にご紹介します。

1.交通事故直後の現場検証

警察は、交通事故があると、事故の状況を確認する「現場検証」(実況見分)を行います。
そして、怪我人がいる「人身事故」の場合に限り、事故現場の計測や証言に基づいて交通事故の内容を具体的に記録し証明する「実況見分調書」を作成します。

実況見分調書は、後に裁判となった場合や、過失割合を決定する際に重要な証拠となります。

必ず、警察の現場検証に立ち会って、警察官に、事故当時の自動車の動きや周囲の状況などを具体的に証言しましょう。
加害者や目撃者は勿論ですが、警察官がご自身の記憶と違うことを言っていたら、かならず反論しましょう。

救急車で病院に運ばれた場合でも、後で警察が再度現場検証をして立ち会わせてくれます。

現場検証に立ち会わなかったとき、または、加害者や警察官の言いなりになって証言をしてしまい、実際よりも被害者の方の過失が大きかったと記載されてしまうと、請求できる損害賠償金が不当に減少してしまうおそれがあります。

実況見分調書を後から訂正することはほぼ期待できませんので、実況見分では毅然かつ冷静に意見を伝えましょう。

【事故直後から現場検証までにするべきこと】
交通事故に遭ってしまったら、事故直後の現場の状況を、スマートフォンなどで撮影・録画して、記録することをお勧めします。また、加害者や目撃者の事故直後の言動も同様に記録してください。
警察が到着する前に、加害者が自動車を動かしてしまう、または、事故当時の天気や周囲の明るさなどが変わってしまうことがあります。
加害者や目撃者の言葉を録音しておけば、警察官に加害者の嘘や目撃者の証言のあいまいさを伝えることができます。また、現場検証への立ち合いが事故から数日経過後になった場合にも、これは大事な資料になります。
実況見分調書の訂正は難しくても、他の客観的な証拠があれば、実況見分調書の間違いを証明することもできます。

2.通院時の注意点

交通事故に遭ったらすぐ、遅くても1週間以内には、病院に通院して医師の診断・検査を受けてください(1週間以上の間隔が開いてしまうと、その間に、交通事故以外の原因により怪我をした等と疑われてしまいます)。

[参考記事]

交通事故の損害賠償請求のために大切な「初診」の注意点

その後も、担当医からこれ以上回復しないと言われるまで、週に2~3日の間隔で通院しましょう。
こうすることで、後遺障害の認定を受けるための前提条件をクリアできます。

後遺障害の認定を受けると、後遺障害についての慰謝料「後遺障害慰謝料」と、後遺障害が原因で将来手に入れられなくなると予測される収入「逸失利益」を、損害として請求できるようになります。

後遺障害の認定手続には、交通事故に関する豊富な経験と知識がある方が有利ですから、しっかりとした認定をご希望であれば、弁護士に手続を依頼すべきです。

後遺障害認定を受ける方法(申請方法)については、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

後遺障害認定手続きは「被害者請求」が良いって本当?

3.カルテや診断書の作成

担当医がカルテや診断書に記載した怪我や症状の内容・治療の経過などは、後遺障害の認定で最も重視されるものです。

担当医には、あなたが感じている痛みやしびれなどの症状を事細かに伝えてください。
細かいことでも構いません。どこがどのように痛むのかなど、具体的に説明することが大切です。

後遺障害の認定で、そもそも後遺症があると言えるのかを認定してもらうためには、「同じ体の部位に」「同じような症状が」「交通事故以来ずっと継続している」ことが、重要なポイントになります。
診察中に担当医に症状を伝えるだけでなく、出来る限り、カルテに記録をしてもらうようにお願いしましょう。

カルテは、医師が患者の症状について記録する専門的な書類ですから、証拠として非常に重要です。

【診断書の確認と修正の依頼】
医師から診断書を渡されたら、必ずその場で内容を確認してください。気になる記載があれば、担当医にその記載について説明をお願いし、出来れば、必要に応じて修正をしてもらいましょう。
医師は非常に多忙です。どうしても、記載漏れや間違いは生じることがあります。また、通院中のコミュニケーション不足などから、被害者の方の訴えが診断書に十分反映されない可能性もあります。
診断書のわずかな内容次第で後遺障害の認定、さらには、損害賠償金の金額が大きく上下してしまう可能性があります。

4.症状固定のタイミング

交通事故による怪我の症状がそれ以上回復しなくなると「症状固定」となります。

症状固定の適切で妥当な時期を想定して通院期間を決めることは、請求できる金額を増やし、また、損害として請求できない出費を減らすために重要です。
しかし、症状固定の時期はどうしてもあいまいで、担当医や保険会社、裁判になれば最終的に決定する裁判官で、認定される時期が異なってしまいます。

ですから、保険会社の言いなりになったり、逆に、担当医の指示を尊重しなかったりすると、損をするおそれがあります。

加害者側の任意保険会社は、治療費の支払いを抑えるために、被害者の方に、本来よりも早くに症状固定がされたとして、支払いを打ち切ることがあります。

一括払いが打ち切られ、治療費を自分で支払わなければならなくなったからというだけで、通院を止めないでください。特に、担当医が「まだ症状は固定していない」と言っているのなら、担当医の指示に従い、通院を続けましょう。

また、担当医から「症状は固定されたから治療の意味がない」と言われたのに、強引に通院をすることは控えましょう。

症状固定日以降の治療費は、ほとんどの場合、賠償されるべき損害に含まれません。不要な出費をして損をすることになってしまう可能性がとても高いです。

5.弁護士に依頼すると慰謝料は増額する!

最後になりますが、交通事故の損害賠償請求では、弁護士に依頼することで賠償金額(慰謝料)が上昇する確かな根拠があります。

交通事故における慰謝料の基準には、①自賠責基準、②任意保険会社基準、③弁護士基準(裁判基準とも言います)の3つがあり、①よりも②、②よりも③の基準を用いて計算した方が高額になります。

加害者側の任意保険会社は、被害者の方が弁護士に依頼しないと、①か②の基準による低い金額で支払いをしようとします。

しかし、被害者の方が弁護士に依頼すると、裁判にならないよう、③の基準に近い、より高額な金額を提示する可能性が高くなります。

このように、弁護士に依頼すれば、ほとんどの場合は請求できる金額が増えます。

6.交通事故の損害賠償請求は弁護士へ

交通事故で請求できる損害賠償金の金額を少しでも高額にするには、事故直後から、病院や警察、保険会社に対して、素早く的確な行動が必要になります。

交通事故に遭って怪我をしてしまっただけでも大変なのに、色々なことを気にしなければ十分な賠償金を手に入れられないなんて…とお嘆きになる被害者の方も少なくないでしょう。

しかし、弁護士に依頼すれば、それだけで損害賠償の基準が上がります。また、担当医に確認すること、伝えるべきことや、症状固定の目処についても助言をもらえるでしょう。

加害者側の任意保険会社への対応を、被害者ご本人に代わりすることができるのも弁護士だけです。

泉総合法律事務所には、交通事故の経験が豊富な弁護士が多数在籍しております。皆様のご相談をお待ちしております。

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