交通事故

後遺障害が2つ残った場合の「後遺障害の併合」

交通事故被害に遭い怪我を被った方の中には、長期の治療の末に後遺障害が残ってしまう方が少なからずいらっしゃいます。
後遺障害が残ってしまうと、将来の生活や仕事にも影響を及ぼすため、しっかりと保障を受け取りたいところです。

後遺障害は、必ずしも1つとは限りません。腕の可動域が狭まるなどに加え、目の視力が落ちるなど、複数の後遺障害が残ってしまうケースもあります。

このような場合は、併合という手続で等級を繰り上げられる可能性があります。

今回は、複数の後遺障害がある方向けに、併合の仕組みや適用方法、例外事例、併合ができないケース、併合理解のポイントまでわかりやすくご説明します。

1.後遺障害の併合とその仕組み

まずは、後遺障害の併合がどのように取り扱われるのか、基本的な内容を理解しておきましょう。

(1) 後遺障害の併合とは

まず、後遺障害とは、交通事故により自賠責保険が規定する後遺障害等級にあたる症状や怪我が残ってしまい、労働能力の喪失が認められるケースを指します。

しかし、各等級をみてみると、単体の症状や部位に関する内容しか定められておらず、複数の後遺障害が残ってしまった場合にどのように適用すればよいのかは明らかではありません。

後遺障害の併合とは、複数の後遺障害が残ってしまい、それが複数の等級に当てはまる場合に後遺障害をまとめて1つの等級を付与することを指します。

原則的には、2つの等級に当てはまる場合、重い方(等級が上位の方)の等級からさらに1-3等級あがります。

もっとも、複雑な仕組みから例外もあるため、複数の症状があるからといって必ず等級が上がるわけではありません。

(2) 併合適用の仕組み

ではさっそく、併合の基本的なルールから理解していきましょう。

併合の原則となるルールは以下の通りです。
基本的にはこのルールを踏襲していると考えてください。

  • その1 5等級以上の後遺障害が複数残る場合、重い等級から3つ繰上げ
  • その2 8等級以上の後遺障害が複数残る場合、重い等級から2つ繰上げ
  • その3 13等級以上の後遺障害が複数残る場合、重い等級から1つ繰上げ
  • その4 14等級以上の後遺障害が複数残る場合、14等級のまま

具体例は以下の通りです。

その1 5等級以上の後遺障害が複数残る場合、重い等級から3つ繰上げ
→4等級と5等級に当てはまる症状がある
→4等級から3等級上がる
→1等級に併合

その2 8等級以上の後遺障害が複数残る場合、重い等級から2つ繰上げ
→5等級と8等級に当てはまる症状がある
→5等級から2等級上がる
→3等級に併合

その3 13等級以上の後遺障害が複数残る場合、重い等級から1つ繰上げ
→12等級と13等級に当てはまる症状がある
→12等級から1等級上がる
→11等級に併合

その4 14等級以上の後遺障害が複数残る場合、14等級のまま
→14等級に2つ当てはまる症状がある
→14等級のまま
→14等級に併合

等級が上位のものに複数あてはまるほど、等級の繰上げは大きくなります。
上記ルールで「複数」と表示しているのは「2つ以上」を指すので、2つでも3つでも同じです。

なお、後遺障害等級表は以下のとおりです。
国土交通省「後遺障害の等級及び限度額
※ご自身による後遺障害の等級適用はあくまで目安であるため、医師や弁護士などの専門家の見立てとは異なることがあることはご了承ください。

当てはまる症状がわかったら、その等級をメモしておきます。メモができたら、先にご説明した原則を適用します。

2.後遺障害の併合の例外

後遺障害が複数あっても、必ず併合できるわけではありません。
次に、併合の例外や併合ができないケースを見てみましょう。

具体的には、以下の通りです。

  • 同一系列とみなして取り扱われる場合(みなし系列)
  • 序列を乱す場合
  • 組み合わせ等級の場合
  • 1つの障害を複数として評価している
  • 1つの後遺障害に他の後遺障害が通常派生する関係にある場合

以下、上記5つを具体的に説明します。

(1) 同一系列とみなして取り扱われる場合(みなし系列)

後遺障害に関しては、眼、耳、口などの部位ごとに加えて、機能ごとに分類し35種類の番号を振っています。

例えば、眼の眼球部位に視力障害が残る場合は1系列、眼の眼球部位に調節機能障害があれば2系列となっています。

基本的には、これらは別の障害としてカウントされ原則ルールが適用されるのですが、一定の系列のみ同一系列とみなされ、複数とは認められません。

具体的には、以下の3つです。

  • 両眼球の視力障害(1)、調節機能障害(2)、運動障害(3)、視野障害の各相互間(4)
  • 同一上肢の機能障害と手指の欠損又は機能障害(右:18と24、左:21と25)
  • 同一下肢の機能障害と足指の欠損又は機能障害(右:26と34、左:30と35)(※数字は系列区分を指す)

(2) 序列を乱す場合

併合で等級が繰り上がるとき、繰り上がった等級に規定される症状との同程度の症状・障害でない場合は、繰上げ自体が不公平になります。これを、「障害の序列を乱す」といいます。

障害の序列を乱す場合は、等級が下がることがあります。

例)右腕を手関節以上で失う障害(5級2号)+左腕を肘関節以上で失う障害(4級4号)=併合により1級→2級に調整

両腕を肘関節以上で失った場合は1級となりますが、これと同程度といえないため、2級に調整されるということです。

(3) 組み合わせ等級の場合

組み合わせ等級として認められている場合は、併合ではなく等級表に定められた等級を付与することになります。

両腕の関節、両手の手指、両足の関節、両足全廃などの場合に組み合わせ等級となります。

例)右腕を肘関節以上で失った(4級4号)+左腕を肘関節以上で失った(4級4号)=両腕の肘関節以上で失った(2級3号)(×1級)

(4) 1つの障害を複数として評価している

右の大腿骨を骨折した後変形癒合した場合は、12等級が付与されます。しかし、変形癒合の結果右足が短縮した場合は13等級となってしまいます。

この場合は、併合ではなく上位等級の12等級を付与することになっているのです。

(5) 複数の障害が派生関係にある場合

右腕または左腕に義関節が残る場合は、等級表によると8等級が付与されます。

同様に、義関節の影響で頑固な神経症状がある場合は12等級が付与されますが、両者は派生する関係にあるため、上位等級の8等級が付与されます。

3.押さえておきたい!併合認定のポイント

後遺障害の併合は、原則ルールだけでなく、例外が複数あるため自分のケースに当てはめるのは難しいです。

そこで、併合を大まかに理解するために、ポイントをまとめました。

(1) 併合認定の3つのポイント

「併合は複雑で理解しにくい…」と感じた方は少なくないはずです。
とはいえ、以下のポイントをおさえておけば、大まかな理解としては大丈夫です。

  • 併合で等級が変更される可能性がある
  • 併合の手続きは後遺障害の申請手続と同じ
  • 慰謝料は原則として繰り上がった等級の額が適用される

併合は例外がたくさんありますが、複数の症状がある場合にはまず併合を疑うべきです。

複数の症状がある場合には併合の可能性があり、等級も変更の可能性があると考えておきましょう。

また併合の手続きも「複雑なのでは?」と気になるかと思います。

後遺障害の併合に関しては、後遺障害の等級認定手続きと同じです。
症状固定後に医師に後遺障害診断書を作成してもらい、任意保険会社に任せる手続き(事前認定)か、ご自身または弁護士に任せて申請手続き(被害者請求)で申請を行い、審査が行われます。

[参考記事]

後遺障害認定手続きは「被害者請求」が良いって本当?

慰謝料に関しては、原則として併合が行われた場合は繰り上がった等級から慰謝料額を算定します。
後遺障害等級認定では慰謝料が等級ごとに定まっているため慰謝料の換算表をご覧になれば、目安となる慰謝料額がわかります。

(2) 併合認定には弁護士が必要

先にご説明した通り、併合認定はかなり複雑です。ご自身でしっかり確認したつもりでも、見落としがある、専門家しか見抜けない例外の適用方法などがあります。

ご自身の後遺障害が複数あり、併合が疑われる場合は弁護士に相談するのが一番です。

後遺障害等級認定に関しては、自覚症状のみの神経症状などの場合は等級認定が難しいケースもあります。
この場合、医学的・法律的な観点から提出書類を集める必要があり、被害者だけでは資料収集が難しいこともあります。

これに加えて併合の可能性がある場合は、きちんと後遺障害を見極めた上で併合ルールに則った証拠集めや主張が必要となります。

慰謝料額に関しても、原則としては繰り上がった等級となりますが、併合等級と単独等級では異なる取り扱いをするケースもあります。

そのため、併合が可能か、正確な慰謝料額がどれくらいかなどを知りたい場合や、繰上げ等級を獲得したい場合には、専門家である弁護士に相談しましょう。

4.越谷で後遺障害認定手続きのお悩みなら泉総合法律事務所へ

埼玉県越谷市周辺で後遺障害認定申請をご検討中の方は、後遺障害認定手続きに関し多くの実績ある泉総合法律事務所越谷支店にお任せください。

併合の可能性から後遺障害慰謝料の算出まで、弁護士がわかりやすくご説明いたします。

初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご連絡いただければと思います。

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