交通事故

兼業主婦(パート)がむち打ちの後遺障害になったときの逸失利益

交通事故で後遺症が残ってしまったとき、後遺症によって将来手に入れられなくなるお金を補うための損害賠償金を請求できる可能性があります。
これが「逸失利益」です。

「家事の合間にちょっとだけパートをしている私は、逸失利益もわずかな金額しか手に入れられないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。

家族のための家事にも経済的な価値がある、と裁判所は判断しています。

もっとも、「家事について平均年収がある」とするのはあくまで仮のものです。そのため、保険会社が支払いを渋りやすいものです。
さらに、症状や原因があいまいな「むち打ち」は、保険会社との交渉を難しくする原因となります。

ここでは、パートの兼業主婦が交通事故でむち打ちになってしまったときの逸失利益について、計算方法や注意点などを分かりやすく説明します。

1.そもそも逸失利益って?

「逸失利益」とは、後遺症のせいで生じた支障のせいで、将来、手に入れられなくなるだろうお金です。

治療中の減収は、「休業損害」として請求できます。
休業損害は、怪我が治療や自然治癒力で回復しきるとき、つまり「症状固定」のときまでの損害賠償金の1つです。治療費や通院慰謝料と同じく、治療中の損害を補うものです。

そして、症状固定時になっても元の健康な状態に回復しなかった、つまり後遺症が残ってしまったときは、損害賠償請求の仕組みが切り替わります。

その後遺症が、損害賠償されるべき「後遺障害」であると認定されることで、後遺症についてもさらに追加で将来の減収を損害賠償請求できるようになります。

これがいわゆる「逸失利益」なのです。

2.逸失利益の計算方法

逸失利益の金額は、おおざっぱにいうと、以下のように計算されます。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

「基礎収入」は要するに年収。原則事故前のものです。

「労働能力喪失率」は、後遺障害により健康な状態よりどれだけ労働能力が失われたかの割合です。
労働能力喪失率の目安は、後遺障害を症状の重さでランク付けした「等級」に応じて定められています(例えば、14級だと5%、12級だと14%です)。

「労働能力喪失期間」は、労働能力が失われる年数です。
計算上は、その年数より少なくなる「ライプニッツ係数」が利用されます。

  • 労働能力喪失期間3年:ライプニッツ係数2.723
  • 労働能力喪失期間5年:ライプニッツ係数4.329

3.パートタイマーの基礎収入

パートの方としては、基礎収入が少ないことが気がかりでしょう。

結論を言えば、兼業主婦のパート収入が平均賃金を下回るときは、原則として、平均賃金を基礎収入として逸失利益が計算されることになっています。

兼業主婦は、仕事か家事、どちらか基礎収入が高い方に基づいて、逸失利益を請求できます(合算はできません)。
掃除や洗濯、料理は、どれも家政婦の仕事です。家族以外のためにすればお金が支払われるはずなのです。

とはいえ、実際に家族からお金が支払われているわけではありませんから、金額を現実に基づいて決められません。

そこで、公平のために平均賃金が利用されます。

2019年現在、最低限の保険金を支払う自賠責保険会社の基準では、その平均賃金は330万1200円です。

しかし、弁護士に依頼した場合は、「事故発生年の働くすべての女性の平均賃金」が基礎収入です。毎年更新される「賃金センサス」という賃金の統計資料が参照されます。
たとえば、2017年なら377万8200円です。

パート収入が少なくても、さきほど例に挙げたようなそれなりの金額の逸失利益を損害賠償請求できる可能性が生まれます。

【弁護士に依頼するメリット】
弁護士に依頼したときのメリットは、基礎収入が40万以上上がるだけではありません。
弁護士に依頼すれば、裁判を避けたい任意保険会社は、交渉段階でも金額を増やすことが多くなります。このときに自賠責のような上限額はありません。
後遺障害慰謝料(後遺障害が残ったことによる精神的な損害への賠償)も、自賠責の支払い基準と、弁護士に依頼した場合の基準では、
・14級 32万円→110万円
・12級 93万円→290万円
と、たいていは大幅な増額が見込めます。

4.むち打ちの注意点

損害賠償請求や後遺障害等級認定では、①怪我や後遺症の存在や程度、②事故との因果関係を、できる限り客観的に証明する必要があります。

その証明のための客観的な証拠が、むち打ちでは少なくなりがちなのです。

むち打ちには、「症状のほとんどが、他人にはわかりにくい自覚症状」「症状があいまいで他人に説明しにくい」「日常のトラブルでも似たような症状が生じるため、交通事故以外の原因をすぐに疑われてしまう」「様々な検査(特に画像検査)で異常が無くても症状が出ることがある」という厄介な問題があります。

特に、検査で異常が出にくいことは本当に厄介です。
MRI画像検査結果など、異常を客観的に明らかにする信頼性の高い証拠、「他覚的所見」をなかなか手に入れられません。

よって、むち打ちはそもそも後遺障害等級認定されることからして大変です。

[参考記事]

後遺障害認定(12・14級)がされるむち打ちの症状とは?

まだ認定を受けていない方は、以下のポイントを念頭に認定申請の検討・準備をしてください。

  • 交通事故の衝撃が大きかったこと
  • 事故から1週間以内に整形外科で診断を受けていたこと
  • 6か月以上、週に2,3回は通院していること
  • 症状について「内容が同じ」「常にある」「だんだんと回復している」ことを、医師に丁寧に説明すること
  • 検査で異常が見つかっていたこと
  • 後遺障害診断書をよく確認すること
  • 弁護士に依頼して「被害者請求」と言う方法で認定手続を申請すること

5.むち打ちになったパート主婦の方は泉総合法律事務所へ相談を

パートの兼業主婦の方でも家事をしていることについて、平均賃金を基礎収入として、逸失利益を請求できます。

もっとも、現実の家事と平均賃金の金額に直接つながりはありませんから、後遺症が家事にどれだけ悪影響を及ぼしているか、具体的に主張することは難しいでしょう。

後遺症の原因がむち打ちの場合、労働能力喪失期間が制限されてしまうだけでなく、そもそも逸失利益を手に入れるために必要な後遺障害等級認定自体のハードルが高くなります。

交通事故の問題は、弁護士に依頼しましょう。

弁護士なら、あなたの具体的な事情を損害賠償制度、後遺障害等級認定制度に沿って整理できます。
あなたに代わり保険会社と交渉して、負担を減らし、裁判されるかもしれないという圧力で提示額を増額できる可能性もあります。

泉総合法律事務所は、これまで多数のむち打ちになってしまった主婦の方につき、逸失利益をはじめとした損害賠償請求をお手伝いしてまいりました。
皆様のご来訪を、お待ちしております。

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