刑事事件

盗撮の初犯で捕まったが、どのような罪に問われますか?

「出来心で盗撮をしてしまったら、それが発覚して逮捕されてしまった。」
本人も、ご家族も、初めてのことで、今後がとても心配でしょう。

いつになったら解放してもらえるのか?裁判にかけられてしまうのか?刑務所に行くことになるのか?わからないことばかりで、不安がつきません。

この記事では、そのような不安をなくすために、盗撮の初犯で逮捕されてしまった場合に問われる罪の内容、その刑罰、処分を有利な結果とするための方法などをご説明します。

1.盗撮はどのような罪に問われるのか?

(1) 盗撮で問われる罪は4つ

盗撮で問われる可能性のある罪は、次の4つです。

  • 迷惑防止条例違反
  • 軽犯罪法違反
  • 住居侵入罪・建造物侵入罪
  • 児童ポルノ等禁止法違反

ひとつひとつ説明しましょう。

(2) 迷惑防止条例違反の罪

各都道府県は、迷惑防止条例で盗撮行為を禁止しています。条例は、各地方自治体に定めるものなので、地方によって細かい内容が異なります。

埼玉県の例

越谷市がある埼玉県の「埼玉県迷惑行為防止条例」では、次のとおり定められています。

禁止される場所

公共の場所
道路、公園、広場、駅、興行場その他公衆が出入りできる場所

公共の乗物
汽車、電車、乗合自動車その他公衆が利用することができる乗物

禁止される行為

(2条4項)

服で隠されている下着等を無断で撮影するなど、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動

罰則

6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(12条1項)

常習犯
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(12条2項)

この埼玉県の条例では、刑罰をもって盗撮を禁止している場所は、「公共の場所」、「公共の乗物」という、いわば公の場所であり、禁止される行為は撮影行為とされています。

東京都の例

もうひとつ、東京都の例を見てみましょう。

東京都:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

禁止される場所

公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物

 

住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

 

禁止される行為

(5条1項2号)

人の通常衣服で隠されている下着又は身体を撮影する行為

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(8条2項1号)

常習犯

2年以下の懲役又は100万円以下の罰金(8条7項)

人の通常衣服で隠されている下着又は身体を撮影するために撮影機器を差し向け又は設置する行為

6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(8条1項2号)

常習犯

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(8条8項)

東京都の場合、罰則で撮影が禁止される場所は、埼玉県のように公共の場所・公共の乗物だけでなく、個人の住居・トイレ・風呂場・更衣室までも含まれています。

さらに、禁止される行為も撮影することだけでなく、カメラ、スマホなどの撮影機器を設置したり、撮影対象の人に向けたりすることも含まれています。

このように各都道府県によって条例の内容は微妙に異なる場合がありますので、盗撮で逮捕された場合は、どの地方自治体の条例が適用され、どのような内容なのかをチェックする必要があります。

(3) 軽犯罪法違反の罪

軽犯罪法は、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見」る行為を禁止し、その違反は「拘留」又は「科料」とするとしています(同法1条23号)。

拘留とは1日から30日未満の間、身体拘束を受ける刑罰であり、科料とは千円から1万円未満までの一種の罰金のことです。

盗撮のために他人の家やマンションの風呂場などをのぞき見たときは、この軽犯罪法にも違反することになります。

(4) 住居侵入罪・建造物侵入罪

刑法は、正当な理由なく他人の住居やその敷地内に侵入する行為を住居侵入罪として、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金で処罰します(刑法130条前段)。

正当な理由のない侵入行為とは、その住居を管理している者の意に反する立ち入りを言いますが、盗撮のための立ち入りが、これにあたることは言うまでもありません。

また、侵入した場所が、人の住居ではなくショッピングセンターなどの建造物であった場合には、建造物侵入罪が成立します。

(5) 児童ポルノ禁止法違反の罪

児童ポルノ禁止法(※)は、児童(18歳未満)の衣服の全部・一部を着けない姿で、性器、尻、胸などの性的な身体部位が露出・強調されている写真等を「児童ポルノ」としています(同法2条3項3号)。
そして、児童ポルノにあたる写真を製造した者は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金で処罰されます(同法7条5項)。

つまり、児童の裸などを盗撮した場合は、それ自体が「児童ポルノの製造」とされて処罰される可能性があるのです。

※児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律

【4つの罪すべてが問われるわけではない】
このように、単純な「盗撮」行為といっても、いくつもの法律に違反する行為であり、決して軽視できない犯罪なのです。盗撮をしてしまった方には、猛省を促したいところです。
しかし、複数の罪に該当すると言っても、常に該当する全部の罪で処罰されるというわけではありません。通常は、このうち1個か2個の罪で処罰すれば、犯罪抑止の観点からも、犯人自身に反省させるためにも十分と判断されるからです。
例えば、公共の場所・乗物での盗撮は迷惑防止条例違反だけに問われることが通常ですし、犯人のスマホやパソコンから児童の盗撮写真が大量に発見されたようなケースでなければ、児童ポルノ禁止法違反に問われることはないでしょう。

2.盗撮で受ける刑事処分の内容

(1) 盗撮の大部分は不起訴か罰金

盗撮事件が発覚した場合に、どの程度の割合で起訴されるのか、起訴された場合の実際の刑の内容・重さがどうなるのかについては残念ながら、盗撮事件だけを対象とした毎年の統計が公表されていません。

そこで公表されている範囲の数値で見てみましょう。

まず、平成26(2014)年の迷惑防止条例違反の盗撮の事件(下着の撮影、通常衣服をつけない場所での盗撮)の検挙件数は3265件と報告されています(※1)。
※1:平成27年犯罪白書

他方、年度が違いますが、平成20(2008)年7月から同21(2009)年6月までの1年間に盗撮で懲役刑の有罪判決(執行猶予を含む)を受け、判決が確定した者は77人と報告されています(※2)
※2:同犯罪白書

年度が異なるので正確な比較はできませんが、3265件の検挙数と77人の懲役刑という数字をみると、盗撮で検挙された事案の多くは懲役刑の判決を受ける以外の処分となっていると考えることができます。

懲役刑の判決以外とは、①起訴されて罰金刑を受けた、②不起訴となった、いずれかです(もちろん、他に起訴されたが無罪判決を受けたなどのレアケースはありますが、数字的にはわずかでしょう)。

つまり、盗撮事件は、ほとんどの場合、罰金刑か不起訴(起訴猶予)で終わるのです。

(2) 不起訴・罰金だから安心ではない

では、盗撮事件で逮捕されても、罰金刑か不起訴だから心配ないと言えるのでしょうか?

実は、先の盗撮犯で懲役刑の有罪判決を受けた77人の中にも、前科のない者が22.1%も含まれているのです(※3)。
※3:同犯罪白書

さらに、同じくこの77人のうちの36.4%は、執行猶予がもらえず実刑判決を受けて、刑務所に服役することになりました。

刑務所に服役した者のうち1年未満の刑期が28.6%、1年以上3年以下の刑期を受けた者が7.8%もいるのです(前記※2)。

このような数字をみると、前科がないから懲役刑の判決はないとか、万一懲役刑となっても執行猶予がもらえるはず、などという絶対の保証はないことがわかります。

しかも、罰金刑であっても懲役刑と同じ「前科」であることには変わりはありません。

最終的に不起訴処分となっても、勾留で身柄拘束が長引けば、職場を解雇される事実上の危険も出てきます。

したがって、盗撮事件であっても事態を悪化させないように、万全の対策を立てるべきなのです。

3.盗撮事件で弁護士による示談が大切

盗撮事件で逮捕されてしまったら、たとえ初犯であっても、早期に弁護士に弁護活動を依頼するべきです。

依頼が早ければ、弁護士は次の弁護活動を十分行うことができます。

  • 警察、検察に被害者との示談を希望するので、被害者の意向を確認のうえ連絡先を弁護士にだけ教えて欲しいと要請すること(通常、弁護士以外には教えません)
  • 被害者側と示談交渉を行い、示談をまとめること
  • 検察官と面会して勾留請求をしないよう働きかけること
  • 裁判官と面会して勾留請求を却下するよう働きかけること
  • 勾留が決定されてしまったら、取り消すよう準抗告という不服申立手段で争うこと
  • 勾留の延長が申請されたら、延長を認めないか、短期の延長にとどめるよう裁判官に要請すること
  • 起訴しないよう検察官に要請すること

特に、被害者との示談をまとめることは、最も重要な弁護活動です。

示談の成立は、示談金の支払いによって被害者の被害が回復し、示談書への宥恕文言(※)の記載によって被害者の処罰感情が薄らいだと評価されます。
※宥恕文言とは、宥恕(ゆうじょ)、すなわち「寛大な気持ちで許す」ことを示す記載です。「寛大な処分を望む」、「処罰は望まない」、「宥恕する」などの記載がこれにあたります。

盗撮のような犯罪では、被害者の処罰感情が処分や量刑の判断において重視されます。

このため示談の成立は、検察官による起訴不起訴の判断、起訴されてしまった後の裁判官の量刑の判断に強く影響するのです。

また、早期に示談を成立させることができたならば、勾留されない可能性、勾留期間満了前に釈放してもらえる可能性も高くなります。

4.まとめ

盗撮事件で逮捕された場合、たとえ初犯でも、重大事件ではないと軽く考えてはいけません。弁護士の活動によって、その後の結果を有利にできる可能性が高いのです。

できるだけ早く、刑事弁護に強い弁護士に依頼されることをお勧めします。

越谷市、春日部市、埼玉東部地域、東武スカイツリーライン沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所越谷支店にぜひ一度ご相談ください。

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