交通事故の後遺障害14級のむち打ちはどのような症状?
交通事故に遭うと「むち打ち」になってしまうケースが非常に多いです。
むち打ちとは、首の骨である頸椎が損傷を受けて痛みなどが発生する症状です。
交通事故でむち打ちになったら「後遺障害認定」される可能性があります。
ただし、すべての事案で後遺障害として認められるわけではありません。
今回は、むち打ちで「14級」の後遺障害認定を受けられるケースと、後遺障害認定された場合の慰謝料の相場について解説します。
このコラムの目次
1.交通事故でむち打ちが多い理由
交通事故の被害者は「むち打ち」になるケースがとても多いことが知られています。
むち打ちとは、首の骨である「頸椎」に外力が加わって損傷する症状です。
なぜ、交通事故ではむち打ちになるケースが多発するのでしょうか?
それは、追突事故などで急に大きな力が加わると、頸椎が曲がるからです。折れはしなくても一瞬強くしなることで、組織や中の神経が損傷してします。
そうして、外傷がなくても痛みやしびれが起こる「むち打ち」となります。
むち打ちになりやすい交通事故は「追突事故」ですが、それ以外にも、急に強い外力が加わって首が曲がるとむち打ちになる可能性があります。
2.むち打ちの症状
(1) 症状がすぐに出ないケース
交通事故が起こった時点では特に何の痛みもなく、外傷もないけれど、2~3日が経過してから痛みやだるさを感じ始めるケースがあります。
その場合にも、むち打ちになっている可能性があります。
交通事故が起こったとき、人は興奮状態になって痛みなどを感じにくくなっています。
よって、むち打ちなどの神経の症状は数日経ってから顕れることも少なくありません。
交通事故後、数日が経過して調子がおかしいと感じたら、すぐに「整形外科」を受診しましょう。放っておくと症状が悪化してしまうおそれがあります。
また、事故から日数が経過してから初めて病院に行くと「事故とは無関係な怪我」とされて、必要な賠償金を払ってもらえないリスクも発生します。
(2) むち打ちの典型的な症状
むち打ちではどういった症状が顕れるのか、典型的なものをご紹介します。
- 首の痛み、しびれ、可動域制限
- 肩こり、痛み
- 背中のこり、痛み
- 頭痛、頭重感
- 腕の痛み
- けだるい
主に首や肩、背中に症状が出ます。
頭痛やだるさを感じたりすることも多く、雨の日に調子が悪くなる方もいらっしゃいます。
めまいや耳鳴りが発生したり、食欲不振となったりするケースもあります。
3.むち打ちで認定される後遺障害
(1) そもそも後遺障害認定とは
むち打ちになった場合、交通事故の「後遺障害認定」を受けられる可能性があります。
後遺障害認定とは、交通事故で残った後遺障害を分類して14段階の等級をつける自賠責保険の制度です。
交通事故で被害者に後遺障害が残ったら、適切な補償を行わねばなりません。
ただひと言で「後遺障害」と言ってもさまざまな程度があり、それぞれの状況に適した補償が必要です。
そこで、重いものから軽いものまで14段階に分けて、それぞれに応じた保険金を支払うことにしているのです。
(2) むち打ちで認定される後遺障害(14級)
「むち打ち」は一般的な呼び名であり、医学的にはいろいろな傷病名があります。
中でも多いのは「頸椎捻挫」「外傷性頸部症候群」です。
頸椎捻挫の場合、通常は骨折しませんし組織の変性なども起こらないので、レントゲンやMRIなどを撮影しても異常はみられません。一定期間安静にしておいて、痛みなどが落ち着いてきたらリハビリなどを行って元の状態に戻していきます。
このような典型的なむち打ちである頸椎捻挫の場合、後遺障害が認定されるとしても、多くの場合14級になります。14級は、後遺障害の中でもっとも低い等級です。
むち打ちでも、もう少し症状が重い場合には12級の後遺障害が認定されます。
(3) 12級と14級の認定基準の違い
むち打ちでは、12級または14級に認定される可能性がありますが、この2つの等級の認定基準にはどのような違いがあるのでしょうか?
14級が認定されるのは「自覚症状のみ、他覚所見なし」の場合です。他覚所見というのは、MRIやレントゲンなどの画像によって医学的に症状を確認できることです。
頸椎捻挫で痛みやしびれが消えないけれどMRIなどを撮影しても組織の変性などを確認できない場合には、14級と認定されてしまう可能性があります。
ただし、MRIなどで立証できないので、痛みやしびれなどの自覚症状があることを他の方法で示す必要があります。
たとえば、画像撮影以外のさまざまな検査を実施したり、適切内容の後遺障害診断書を用意したり医師に意見書を書いてもらったりして、症状を推定させなければなりません。
一方、12級が認定されるのは、MRIなどの画像撮影によってはっきり他覚所見を確認できるケースです。
椎間板ヘルニアや組織編成、脊柱管狭窄などの何らかの異常を確認できれば、むち打ちでも12級が認定されて14級よりも高額な賠償金を受け取れる可能性があります。
4.むち打ちで14級となったときの慰謝料相場
むち打ちで14級の後遺障害認定を受けたとき、慰謝料はどのくらいになるのでしょうか?
後遺障害が認定されると、一般の傷害慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」が支払われますが、14級の後遺障害慰謝料の相場は、いわゆる法的基準で110万円程度です。
12級であれば290万円程度になるので、14級の場合には大きく金額が下がってしまうことがわかります。
そうはいっても、そもそも後遺障害認定されなければ後遺障害慰謝料は0円なので、認定を受けられるとかなり賠償金が上がることは確かです。
また、慰謝料の計算基準が複数存在することにも注意が必要です。
法的基準である弁護士基準で計算すると14級の後遺障害慰謝料は110万円程度になりますが、任意保険会社の基準では40万円以下の場合がほとんどです。
被害者が自分で相手の保険会社と示談交渉をすると、40万円程度の後遺障害慰謝料しか払ってもらえません。110万円程度の正当な補償を受けるには、弁護士に示談交渉を依頼して弁護士基準を適用する必要があります。
5.14級の後遺障害認定を受けるポイント
むち打ちで14級の後遺障害認定を受けたいなら、以下のようなことが重要です。
(1) 神経学的検査を受ける
むち打ちで14級になるのは、MRIなどで他覚所見がない場合です。MRIで証明できなければ、別の方法での立証を検討すべきです。
たとえば、ジャクソンテスト、スパークリングテスト、可動域に関するテスト、筋電図や腱反射などの検査を受けて、症状があることを示しましょう。
(2) 自覚症状が一貫している
むち打ちで後遺障害認定を受けるには、事故当初から矛盾のない訴えを続けていることが重要です。
事故直後、治療中、後遺障害認定請求時に痛みやしびれの出ている箇所について異なる説明をしていたら、本当は症状がないと思われてしまいます。
(3) 事故の内容と症状が合致している
交通事故の状況と症状の内容が合致していることも必要です。
軽い事故なのに異常に重篤な症状を主張しても信じてもらえません。
(4) 通院をまじめに継続している
むち打ちで後遺障害認定を受けるには、事故直後から症状固定するまでまじめに通院を継続することが大切です。
たとえば、事故後すぐに病院に行かずに1か月後に始めて通院しても「事故とは無関係な怪我だ」と思われます。
また、通院頻度があまりに少ない場合「完治しているのだろう」と思われるでしょう。
事故に遭ったら、なるべく早い段階で整形外科に行き、継続的に通院を続けて症状固定するまで根気強く治療を受け続けることが大切です。
(5) 被害者請求をする
後遺障害の認定請求の方法には事前認定と被害者請求の2種類があります。
事前認定は相手の保険会社に後遺障害認定を任せる方法、被害者請求は被害者自身が書類を揃えて後遺障害認定を請求する方法です。
むち打ちの14級で後遺障害認定を受けられるかどうか微妙な事案では、被害者が積極的に資料を提出できる被害者請求の方が望ましい対応をとれます。
ただし、被害者請求にはたくさんの書類を要しますし労力もかかります。専門知識がないと上手に制度の利点を活用できないので、交通事故に詳しい弁護士に任せるのが良いでしょう。
6.むち打ちでお悩みの方は泉総合法律事務所へ
泉総合法律事務所では、交通事故問題の解決に積極的に取り組んでいます。むち打ちになってお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
越谷市、春日部市、埼玉東部地域、東武スカイツリーライン沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所越谷支店がアクセス便利です。
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